地域教育情報紙『エリアウエッブ』第3号(平成16年(2004年)6月30日発行) 峡東教育事務所地域教育推進担当(TEL0553-20-2737/FAX0553-20-2733) ◎子育てについて・・・ −峡東教育事務所 副所長 早川公仁−  児童・生徒に関する「アッ」と驚くような事件が全国各地からマスコミを通して報道されています。そ の度に,心が痛むと同時に,「一体どうなっているのか?」と憤りを感じてしまいます。今,子ども達が 一番安心して楽しく生活できる場である「家庭」と「学校」が「虐待」・「殺人」・「いじめ」等々によ り崩壊した感があります。何が原因で,何が変わり,何が影響しているのでしょうか。教育関係者や心理 学関係者が多方面から探っていますが,これといった原因や対応策が具体的に示されない状況のなかでま た,悲惨な事件が起きてしまいました。なんと痛ましいことでしょう。  情報化時代・少子高齢化時代・科学技術の進歩・国際化の進展・経済のグローバル化等により,人々の 価値観やライフスタイルが多様化してきています。そのことが親をはじめとして子ども達の生活にも大き な影響を与えているのも事実です。このような時こそ原点にもどり,子育てについて見直すことが大切で はないでしょうか。  子育ての原点は数多くあると思いますが,私は次のことを確認することで,親も子も明るく楽しい生活 がおくれることになると思っています。  ルソーの教育論『エミール』の中に,「子どもを不幸にするいちばん確実な方法はなにか。それはいつ でもなんでも手に入れられるようにしてやることだ」という一節があります。欲しがるものを与え続ける のではなく「がまん」することを子どもの時から,いろんな場面で教えることが大切だと思います。  つぎに大切なことは,家庭教育における基本的な生活習慣・豊かな情操の形成・善悪の判断・他人に対 する思いやりの心の育成です。親が日常生活のなかで「当たり前のことを当たり前にする」ことだと思い ます。そのことを子どもに聞かせ,見せ,ともに行動することだと思います。  コミニュケーションがうまくできない,自己表現がうまくできない子ども達がふえていると言われてい ます。 親が子どもと一緒に積極的に地域の人たちと関わり,交流することが大切であると同時に,子ども 同士で群れて遊ぶ機会を積極的に推進し,子どもを見守ってやることだと考えます。  以上3項目にわたって私の思いを述べさせていただきました。この機会に子育てについて,あらためて 親同士で話し合っていただきたいと同時に,地域の人たち等と話し合っていただけたらと思います。     ◎学校訪問 -- ありがとうございました  5月から6月にかけて,東山梨・東八代地区の小学校を訪問し,校長先生との懇談と,1・2年生の授 業を参観させていただきました。時間のとれる学校では1・2年生の担任の先生ともお話させていただき ました。  参観して感じたことですが,子どもたちが集中して学習に取り組むように授業内容を工夫し,動作化や 具体物・操作活動を取り入れた授業のすすめ方を工夫し,努力している先生方の様子がうかがわれました。 また,それに応えようと暑い中でがんばっている子どもたちの姿を見ることができました。  学級での取り組みでは,話をきちんと聞く,持ち物の管理ができる等,子どもたちのできることが多け れば多いほど,ほめるところから出発することができます。そのことで4,5月の早い時点で落ち着いた 授業ができるようなクラスになったという話も聞くことができました。  保育所,幼稚園の取り組みを知ること,小学校の取り組みを知ることが,子どもたちの成長に大切だと いうことを感じました。これからも,近くにある保育所・幼稚園と小学校の教員同士が気軽に声をかけ合 うなかで,園児・児童の交流などを考えていくことが必要だと感じました。   ・幼・保・小の連携−−具体的実践例 (訪問から) (1)1年生の授業を園長さんや年長の時の担任の先生に見てもらい,その後,懇談会を持っている。 (2)日常的に1年生の生活科の学習に位置づけ,園児と1年生の交流を行っている。 (3)学校開放日のお誘いを園や園の保護者に渡す,学校だよりを渡す等の取り組みをしている。 (4)小学校に来て授業参観をしてもらうばかりではなく,夏休み等を利用して幼稚園,保育所の参観を    行っている。 (5)入学説明会の時,新入児に来てもらい,1年生が主になって交流(遊び,学習など)を行っている。     ◎新しい高校づくり(峡東ブロック)地域説明会  新しい高校づくり推進室(県教育委員会)では6月26日(土),峡東地域の小中高校の教員やPTA 関係者等を対象にした標記の説明会を行いました。有識者でつくる「第2次新しい高校づくり課題研究協 議会」が昨年7月,「県内4校目の総合学科高校を 峡東地域に設置することが望ましい」との意見集約を 受けて開いたものです。  新しいタイプの総合学科とは,普通科・専門学科(職業科・専門教育学科―英語科・理数科等)の次に くる3番目の学科であり,普通科目・専門科目の幅広い選択科目から自分で科目が選択できるものです。 この総合学科の設置に関して,活発な意見が参加者から出されました。学校・家庭・地域の連携の必要性 が叫ばれ,地域の学校としてあるべき姿が問われる中で,この課題を共に考えていきましょう。