地域教育情報紙『エリアウエッブ』第2号(平成16年(2004年)5月26日発行)
峡東教育事務所地域教育推進担当(TEL0553-20-2737/FAX0553-20-2733)

 
◎価値観の勝手化! -峡東教育事務所長 丸山 森人-

 初夏の風が清々しい頃となりました。皆さま方には日ごろより地域教育の活性化に向けご尽力いただい
ていることに心より感謝申し上げます。
 先日こんなことがありました。一杯飲んだ帰りに,電車の待ち時間調整で,友人とお茶を飲みに店に入
ったとき,店中に響き渡る大きな声で話したり,笑ったりしている若い4人組の女性が居ました。他の人
は話もできないくらいの声でした。何人かが注意しても,すぐまた騒ぎ出す始末。こんな光景を目にする
ことが最近多いと思います。
 「人に迷惑をかけなければ何をしてもいい」「あんたには関係ない,口を出すな」という言葉も耳にす
ることがあります。「自分の命や人生は自分のものだから,自分の好き勝手にしていい。他人にとやかく
言われることはない。」という考えは違うと思います。
 自分が生きているということは,父母の生命を受け継いでいるからです。父母もまたその父母の生命を
受け継いできています。人類誕生から,とぎれることなく受け継がれた生命を自分は生きていることにな
ります。それは,生命の誕生から始まっているかもしれません。
 人々が共に生活をしていく上で,共通の価値観が必要になります。個性や違う価値観を尊重していく,
共通の価値観です。今は,個性の尊重や価値観の多様化が言われる中で,自分の好き勝手にすることと考
え違いしているのではないかと思われることも多くなっています。
 自由には責任が,権利には義務が伴い,それをわきまえるのが「自立して生きる」ということです。自
由と権利を主張するが責任を果たさず,義務を負わないのは,価値観の多様化というより価値観の勝手化
です。厳しい現実や煩わしさから逃避しているだけのことです。
 生きていく上で,とりわけ子どもの教育を考えると,学校・家庭・地域の連携は欠かせません。価値観
が多様化(勝手化)している中で,口で言うほど連携していくことは簡単なものではありません。ビジョ
ンを持ったねばり強い取り組みが大切になります。
 人は人との関わりの中でしか生きて行かれません。よりよい関わりと,連携づくりのために,峡東教育
事務所「地域教育担当」は,本年度もこの「エリア ウエッブ」で,情報を提供していきますので,有効
にご活用ください。

※教育相談のご案内・・・峡東教育事務所(まず電話してください)
 ・巡回教育相談(学校教育担当) ℡ 0553-20-2732
 ・教育相談窓口(地域教育推進担当) ℡ 0553-20-2737
 
 
◎家庭教育手帳「ドキドキ子育て」(山梨県版ー文部科学省発行)より

 毎年発行している家庭教育手帳です。今年度は年齢別に3分冊(乳幼児編,小学生低中編,小学校高中
学生編)になりました。子育て中のお父さんお母さんや,その周りのおじいちゃんおばあちゃんをはじめ,
多くの人向けに書かれています。その紹介を兼ねて,この中の記事を引用していきたいと思います。

--乳幼児編--(連載)
1.家庭とは?子どもが家で身につけたことは,生涯,ずっと生き続ける。
 ①子どもたちのいちばんの願い,それは何だと思いますか?
   「あなたの家庭にもっと望むことがありますか」と子どもたちに聞いたと ころ,どの年代の子ど
   もでもいちばん多かった答えは「家族みんなが楽し く過ごす」でした。そんな当たり前のことを
   子どもたちが願わざるを得ない現実を,親として真剣に受け止めたいものです。
    必要なモノさえ与えていれば子どもは育つ,と思えた時代もありましたが,いまや心安らぐ楽し
   い家庭は家族が意識的に協力し合わなければなかなか得られません。
    子どものために,自分のために,もう一度,家庭を見つめ直してみましょう。

          ・・・・・・・安らぎのある楽しい家庭をつくる・・・・・・・
 
 
◎地域教育推進担当の役割-幼・保・小の連携

『幼稚園・保育所と小学校の「段差」』

 5月から6月にかけて,担当が各小学校を訪問し,1・2年生の参観と様子についてのお話をお聞きし
ています。お忙しい時間を割いていただき,感謝申し上げます。
 幼保・小の連携について,「段差」という点から考えてみると次のようになります。
 子どもにとって教育的で意味のある段差は必要なものであり,子どもはその段差や教師が意図的に設定
するハードルを乗り越えて成長するものだと考えられます。しかし現状は,必要以上の段差が生じている
場合があります。例えば,小学校で急に変化する学習スタイルや生活規律等に自分の力で適応できない児
童が大勢存在する場合などがこれにあたります。
 「幼保・小の連携」は,その段差を解消することが目的ではなく,連携を通して教師が適切な段差を認
識し,指導や手だてによって中間ステップとなる足場を設ける等,子どもの発達に応じた教育の実施を目
指す取り組みです。