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ベトナムの子は,ほとんどが「遊び」を選んだそうです。「みんなで働くことが楽し いので遊びはなくても良い」という理由だったそうです。「友だち」と答えた子は,いじめられたつらい 思いから選び,「お金」と答えた子は,父親が借金のため蒸発し,一緒に暮らせないというつらい思いか らでした。高校生にも,「大人に望むことは?」ということを聞いたところ,「平和な世の中」と答えた そうです。子どもたちに,夢を持たせるのは,やはり大人の務めなのです。 <仲間の良さ,自分の良さ発見>  そして,次にくるのが『共同』ということです。共同して活動を行うことによって,仲間の良いところ や自分の良いところを発見することにつながる。また,問題が起きたとき自分たちで問題を解決すること によって,問題を解決する道筋を知り,問題を解決する力(自己解決力)を育てることにもつながり,そ れが,『希望』や『自信』を持たせることになるのだということです。学級集団づくりの実践の事例や, よみきかせの実践の事例が話されました。どんな点を評価していくかということで,下の視点を出してく れました。この視点で大人が評価していくことによって,子どもたち同士の評価の視点もこのようになっ ていくのです。  @ 大きい声が出せる  A 表情がゆたかになる  B 動きやしぐさがはっきりする  C 自慢ができる  D みんなの方を見て話せる  E 友だちがふえてきた  F 遊びの種類がひろがる  G 役割が果たせる  H 約束が実行できる  I 「やろう」「よそう」と言える <『いのち』の実感を持たせよう>  『いのち』を大切にする子に育てるには,『いのち』の実感を持たせることが大切であることが話され, 次のような場を考えての実践が語られました。  @ 生き物を死ぬまで面倒を見て飼うこと[死んだときの対応(線香・墓等)の仕方]  A 身近な人の葬儀への参加[死ぬということを理解する場に]  B 事件が起きたとき,人間の問題として語る[被害者の親,加害者の親の生き方,また,いのちは自分    だけのものではない]  以上のように,『対話』『活動』『共同』が大切であることの後,大人(親や教師)の大事にしたい言 葉は何かと,次の( )に入る言葉をみんなで考えました。  @ 教育(子育て)とは(     )を育てること  A 教師(親)の愛とは,その子を(     )こと  B「ほめる」と「励ます」とはちがう。励ますとは(     )を示してやること  C 人間は,ひとりだけでは(     )になれない  D 子育て・教育に(     )はない    *( )の中に入る言葉 @希望 Aみすてない B可能性 C人間 D手遅れ 以上,講演の内容を簡単に書きましたが,『大人が変われば,子どもも変わる』と考え,また,必要だ と気づいたところから始める『子育てに手遅れはない』ということを考え,地域で,学校で,家庭で実践 できたらと思います。 <参加者の感想から (一部紹介)> ☆ 楽しい講演会でした。自分自身に自信,希望が持てたように思います。 ☆ 子どもの姿が目に浮かんでくるような事例などがたくさん盛り込まれていて,心に染み込んでくると  ころがたくさんありました。どうもありがとうございました。 ☆ 父と娘の関係について,先生の話を聞いて,私の父の関係を見直しました。叱られた記憶しかなかっ  たので,あまり話をしていません。できることなら仲良くなりたいとは思っていますが,諦めていた部  分も多かったです。でも,まだ遅くないのかな…?と希望が持てました!! ☆ 子どもとの対応の仕方を丁寧に話していただき,分かりやすかったです。幅広い年齢への関わり,い  くつになっても大切なこと,必要なこと,改めて気付かされました。集団生活のスタートを切る場を任  されているので,お話を心にとめて励みたいと思いました。 ☆ 教師としても,母親としても,子どもへの接し方は,「前向きに温かく」という点が同じだと思いま  した。勉強になりました。 ☆ 実体験に基づいたお話や,いのちの大切さについて詳しく話していただきました。笑いを交えた講演  会でした。また,クラスづくりについてのワンポイント的なお話もためになり,今後,生かしていきた  いと思いました。  ☆ 女・男・女の3人の子どもを育てていますが,真ん中(男)に手を焼いています。今日は,何か少し  でも学んで,生かせることがないかと聞きに来ました。涙したり,笑ったり,考えたりと楽しく聞くこ  とができ,家に帰って実行したいと思いました。 ☆ 「いのち」を大事にするということが,毎日の生活の中で具体的に何をしたらよいのかがわかり,私  自身にも希望が見えました。子どもの思わしくない状況に自信をなくしていたのですが,まずは,丈夫  で元気に育てた私に自信を持ち,子どもの可能性に希望が持てました。ありがとうございました。 ◎〜(峡東地区)中学生一日高校体験入学 〜   峡東地区の高校5校(石和高校・山梨高校・塩山高校・日川高校・山梨園芸高校)で,中学3年生と保 護者・教師を対象とした,一日高校体験入学が,8月15日から31日までの間に開催されました。  どの高校も学校の雰囲気や授業内容等を知ろうと,多くの中学3年生であふれていました。説明会では, 各高校とも自校の特色を中心に説明し,学校の様子をよく理解しながら自分に適した高校を選択できるよ うに,と話していました。  さらに,どの高校も内容がよく理解できるようにと,全体説明会・学校紹介の前後に,高校の先生によ る模擬授業・実験実習の体験学習を行っていました。参加した生徒は,来年入学しているかもしれない高 校の体験学習を真剣にまた楽しそうに受け,工夫された様々な授業は中学生に好評を得ていました。 他に,高校在学生の話を聞く会や部活動の見学会を開催したり,保護者・中学校の教師対象の説明会や 懇談会を別に設けたりと,高校側も工夫している様子が伺えました。特に高校在学の先輩による体験発表 は,受験校を決めるため大いに参考になったと思います。 自分の将来を見通して進路を決めることは,重要であるといわれています。一方,高校入学後中途退学 していく生徒が毎年大勢いることも,問題になっています。ですから,子どもたちに見通しを持たせるう えで,高校体験入学は非常に重要な事業だということができます。(〈注〉中途退学の高校生は,平成15 年度では全国 81799人 2.2%,山梨県 558人1.9%)  中学生も高校生も自分の適性を知り,慎重に進路を決めることは重要であり,これからも「体験入学会 (オープンキャンパス)」が,多方面で行われることが望まれます。 ◎すがすがしい朝  夏休みも終わり,2学期が始まりました。通勤途中に,元気に登校する子どもたちの姿を眼にするよう になりました。 9月1日の朝のことです。交差点の赤信号で車を停めていた私の横で,登校班の班長でしょうか,旗を 持って何人かの子どもたちを誘導していました。やがて,信号が青に変わると班長さんは,列の前に行っ たり後ろに行ったりして,子どもたち全員を無事に渡らせました。左折しようといしていた私は,その子 どもたちが通過するのを待っていました。すると,全員無事に渡らせた班長さんが,笑顔でこちらを向き, 大きな声で「ありがとうございました。」と,私の方を向いて頭を下げてくれました。  台風一過の良い天気と同じように,なにかすごくすがすがしく感じ,今日1日仕事もがんばれる気がし ました。     /////////////////////////////////////////     /  「声かけ,あいさつ運動」実施中   /     /////////////////////////////////////////