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瑪瑙を5色に染め分けられるのは自分だけ。世界でオンリーワンの技術です。二代目・井口美一(美馬貴石株式会社・代表取締役)水瓶座・山

瑪瑙(めのう)を5色に染め分けるという、世界で唯一の技術を受け継いだ二代目・井口美一氏
その染色技術は二代目によりさらに磨かれ、父をも超えるオリジナリティ溢れる作品を制作している。
今回は、瑪瑙を自在に操る「色の魔術師」と呼ばれる氏の魅力に迫った。

神秘的でカラフルなジュエリーですね!

それはね、「ピクチャーメノー」って言うシリーズなんです。カラフルなところは瑪瑙を染めているんですよ。数ある瑪瑙の中でも風景に見える部分だけを厳選して使うので少ししか作ることができません。しかも、天然の模様を生かして、一つひとつ手作業で染色しているので同じ物が二つとできません。希少性がすごく高いジュエリーなんです。

瑪瑙ってこんなに綺麗に染められるんですね。

瑪瑙を染めるというのは、厳密に言うと、「染める」わけではなくて、地中で瑪瑙ができあがる過程で浸み込んだ成分の色を「再現する」というのが正しいですね。例えば、鉄分を含んだ瑪瑙を焼くと赤く発色するというようにね。地中で浸み込んだ成分によって色が変わってくるわけです。

そうすると瑪瑙によって発色する色は決まっているわけですね。

ええ。相性はあります。例えば、この石だとグリーン系がいい。石を見れば綺麗に発色する色がわかるんです。これだったら赤がいいなとか、黄色で大丈夫だろうとか。毎日石を見て経験を積んでいるので、大体判断できますね。

まさに職人の目ですね!最大何色まで染められるんですか?

今は最大5色ですね。一つの瑪瑙を5色に染め分けられるのは世界でも自分だけです。ただ、一色ずつ順番に染めていくので時間も手間もすごくかかるんですよ。一色染めるのに最低一か月はかかりますから。厚いものは染み込むのに半年から1年かかります。市場に出回っている安物は、ただインクで染めているだけなので、すぐに退色するし、発色も良くない。だけど「ピクチャーメノー」は瑪瑙の成分を生かして化学反応で発色させているので、綺麗で繊細なカラーリングができるし、退色もしません。

へえ!「ピクチャーメノー」の制作はどういうプロセスで?

まずは原石の選別です。希少性の高い特殊な瑪瑙を使っているので、産地のブラジルに直接買い付けに行っています。往復の移動で4日、現地で1週間かかりますね。治安があまり良くないし、言葉もポルトガル語だから大変ですよ(笑)。その後、工房に戻って原石を切断し、風景に見える部分だけを厳選して切り取ります。そして、小判型に研磨した後、染色作業に入ります。化学薬品を何十日もかけて浸透させ、電気炉で3日間焼きます。最後に光沢を出すために研磨し、地金を取り付けて完成です。地金の修行もしていたので地金の部分も僕が作っているんですよ。貴金属装身具の部門で山梨代表として技能五輪全国大会にも出たんですよ。

完成まで全て一人で作っているとは驚きです!金属加工と研磨の技術を持ち合わせた井口さんならではのジュエリーですね。染色技術は先代であるお父様から?

ええ。天然の瑪瑙を宝飾用に赤く染めるのに成功したのが先代なんです。その技術がドイツで普及して発達したのが瑪瑙カメオなんです。ベースの技術を開発したのが先代で、そこから染め分けとか色々な技術が生まれてきました。ただ、先代は昔からの職人さんですから「見て覚えろ」というスタンスでした。手取り足取りは教えてくれなかったですよ。ベースとなる技法を教わって、今はそれを生かして自分なりの作品を作っています。

デザインも自分で?

自分で考えたりデザイナーさんに頼んだりします。染め上げた石からインスパイアされたり、枠を先に作って、それに合わせて石を作るってこともありますね。どちらでもできますから。石の持つ味わい、美しさなどのポテンシャルを生かし、その魅力を見せるためにシンプルなデザインを心がけています。商品の種類だと800型以上はありますね。

バリエーション豊かなんですね。では今後チャレンジしたいことは?

今もどんどん新しいことをやってるんですけど、染色技術と別の技術をミックスさせて新しい作品作りをしています。例えば、これはプリカジュール(※1)と染色した瑪瑙を組み合わせて作ってみました。染めた瑪瑙とエナメルの質感がすごくマッチしてるでしょ?これからも新しい技法にどんどんトライしていって、消費者に喜ばれるもの作りをしていきたいと思いますね。

(※1)プリカジュール(省胎七宝):薄い金属箔の上に、エナメルを焼き付け、その後に薬品処理によって箔を取り除く高度な技法。ステンドグラスと同じように光を通す。

これからも染色技術を生かした井口さんならではのもの作りに期待しております。今日はありがとうございました。

 

企業情報

名  称:美馬貴石株式会社

住  所:山梨県甲府市青沼1丁目13-13

T E L:055-233-3513

F A X:055-235-3145

H   P:http://miuma.jimdo.com/

             http://www.mima-j.jp/japanese/index.html(ミマ・ジュリー)

事業内容:   オリジナルジュエリーの製造販売

自社の強み:山梨県認定プレ・ジュエリーマスター、一級宝石研磨士、貴金属装身具製

                  作2級技能士など資格を持った職人が制作しております。

                  「ピクチャーメノー」シリーズは高度な技術が必要なため、自社でしか制作で

                   きません。

                   企画商品など、高い技術力で様々なご要望にお応えいたします。

                   全ての商品をデータベース化しているので、メール等でイメージのやり取り

                   が可能です。

  

 

「ピクチャーメノー」のペンダント 

 

「ピクチャーメノー」のリング 

 

工房にはたくさんの瑪瑙がストックされている。

縞状の模様を生かし、風景に見える部分だけが切り取られる。 

 

プリカジュールを駆使した「ピクチャーメノー」

 

 

 

Yoshikazu Iguchito 井口美一

●1969年2月13日生まれ。●現代の名工である先代・井口美一氏に師事。●一級宝石研磨士、貴金属装身具製作2級技能士、宝飾加工技能士、山梨県知事認定プレ・ジュエリーマスターの資格を持つ。●2001年、二代目・井口美一を襲名。

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