○山梨県地域における介護及び医療の提供体制の確保に関する条例
令和六年三月二十九日
山梨県条例第三十二号
山梨県地域における介護及び医療の提供体制の確保に関する条例をここに公布する。
山梨県地域における介護及び医療の提供体制の確保に関する条例
県民が住み慣れた地域で暮らしていくためには、地域の介護及び医療の基盤が必要である。
しかしながら、我が国では、世界に類を見ない急速なペースで人口減少・少子高齢化が進行する中、地域の介護及び医療を取り巻く状況は厳しく、県民が地域において、自宅や施設などで介護及び医療を安心して受けることができる生活を維持するためには、県、県民、市町村、介護事業者、医療機関その他の関係者が一体となって地域の介護及び医療を守っていかなければならない。
そのためには、地域の介護及び医療の利用者、その家族と介護事業者及び医療機関等相互の理解と信頼関係の構築及び相互に敬い感謝する気持ちの醸成、介護事業者、医療機関その他の関係者の連携の推進とともに介護従事者及び医療従事者等(以下「介護従事者等」という。)の確保及び定着を図る必要がある。
ここに、将来にわたって県民が安心して地域で介護及び医療を受けることができる体制を確保するため、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、本県の地域における介護及び医療の提供体制を確保し、地域における良好な介護及び医療の提供体制の下での県民の生活の向上を推進するための基本理念、県、介護事業者及び医療機関等が果たすべき責務並びに県民の役割について定めることにより、県民が住み慣れた地域で安心して暮らすための基盤である地域における介護及び医療を受けることができる体制を確保することを目的とする。
(基本理念)
第二条 地域における介護及び医療は、県民が地域で安心して生活を営む上で欠かすことのできないものであることに鑑み、県、県民、市町村、介護事業者、医療機関その他の関係者が一体となり、その持続可能な体制を確保しなければならない。
2 県民の生活は、県民自らが健康の維持増進に努めつつ、自らの意思決定に基づき、地域における介護及び医療を適切に受けることができるものでなくてはならない。
(県の責務)
第三条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市町村と連携して、県民に対して良質かつ適切な介護及び医療の提供体制を確保するための施策を推進する責務を有するものとする。
(介護事業者及び医療機関等の責務)
第四条 介護事業者及び医療機関等は、基本理念にのっとり、良質かつ適切な介護及び医療を提供するため、利用者、患者及びその家族の立場を尊重し、信頼関係の構築に努めなければならない。
2 介護事業者及び医療機関等は、介護従事者等が安心して働ける良好な勤務環境を保持するため、当該介護従事者等の確保に努めなければならない。
3 介護事業者及び医療機関等は、相互に連携しつつ、県との連携を図るよう努めなければならない。
(県民の役割)
第五条 県民は、基本理念にのっとり、地域における介護及び医療の提供体制を確保するため、介護従事者等が県民の生命、健康及び生活に欠かせないことを理解し、当該介護従事者等が安心して従事することができるよう、信頼関係の構築に努めなければならない。
2 県民は、自らの健康の維持増進に努めるとともに、適切な介護及び医療の利用に努めなければならない。
(介護事業者、医療機関その他の関係者との連携)
第六条 県は、県民に住み慣れた地域において良質かつ適切な介護及び医療を切れ目なく効率的に提供するため、介護事業者、医療機関その他の関係者との連携に努めるものとする。
(介護従事者等の確保及び資質の向上)
第七条 県は、介護事業者、医療機関その他の関係者と連携を図り、地域の特性その他の事情に応じて、多様な人材の確保及び資質の向上に努めるものとする。
(情報提供及び相談体制の充実強化)
第八条 県は、介護事業者、医療機関その他の関係者と連携を図り、地域において介護及び医療の提供を受ける者が介護事業者、医療機関その他の関係者の機能に応じ適切に利用できるよう、必要な情報の提供及び相談体制の充実強化に努めるものとする。
(県民の理解の増進)
第九条 県は、地域における介護及び医療の提供体制の確保に関し、県民の関心を高め、その理解と協力を得られるよう、介護事業者、医療機関その他の関係者と連携し、次に掲げる施策の推進に努めるものとする。
一 普及啓発
二 学校、地域、家庭その他のあらゆる機会を利用した地域における介護及び医療に関する理解を深めるための学びの推進
三 地域における介護及び医療の仕事の働きがいに対する社会的認知の更なる向上
(財政上の措置)
第十条 県は、地域における介護及び医療の提供体制の確保のための施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第十一条 この条例の施行に関し必要な事項は、知事が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。