○山梨県多様性を認め合う共生社会づくり条例

令和五年三月二十四日

山梨県条例第十五号

山梨県多様性を認め合う共生社会づくり条例をここに公布する。

山梨県多様性を認め合う共生社会づくり条例

すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。この理念は人類普遍の原理であり、法の下の平等及び基本的人権を定めた日本国憲法の精神にもかなうものである。

こうした理念の下、県民一人ひとりが自らの意思で自由に生き方を選択し、自分らしくいきいきと暮らすことができる差別のない社会の構築は、私たちの願いである。

山梨県においては、これまでも、性別、年齢、障害や疾病の有無、国籍等にかかわらず、誰もがその個性や能力を生かして活躍できる共生社会を目指して、様々な取組を進めてきたが、今なお、多様性に関する理解が不十分であることを背景に、誤解や偏見、差別が生じていること等の多くの課題が残されている。

また、少子高齢化、デジタル化、グローバル化の進展等、社会経済情勢が急速に変化する中で、本県が持続的に発展していくためには、恵まれた自然や歴史、風土に培われた豊かな文化的土壌等を生かし、多様な文化や価値観を持った人々を理解し、積極的に受け入れ、互いに支え合う寛容な社会を実現していく必要がある。

ここに、私たち山梨県民は、多様性を認め合う共生社会づくりを進めるために不断の努力を続けていくことを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、多様性を認め合う共生社会づくり(差別を無くし、全ての県民が、一人ひとりの違いを尊重し合い、多様な文化及び価値観を受け入れ、並びに互いに支え合う社会の形成を推進することをいう。以下同じ。)について、基本理念を定め、並びに県、県民、事業者及び教育に携わる者の責務を明らかにするとともに、多様性を認め合う共生社会づくりに関する施策の基本的な事項を定めることにより、多様性を認め合う共生社会づくりに関する施策を総合的に推進し、もって県民が安心して暮らすことができ、かつ、豊かで活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第二条 多様性を認め合う共生社会づくりは、何人も、個人として尊重され、及び互いに支え合うことで安心して生活することができ、並びに社会を構成する一員としてその個性と能力を発揮してあらゆる分野で活躍できることを基本理念として行われなければならない。

(差別的取扱い等の禁止)

第三条 何人も、他人に対して、人種、信条、性別、国籍、性的指向(恋愛又は性的な関心の対象となる性別についての指向をいう。)、性自認(自己の性別についての認識をいう。)、社会的身分、門地、職業、年齢、障害又は疾病の有無その他の事由を理由として、差別的取扱いをすることその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。

2 何人も、他人に対して、優越的な関係を背景として、不当な要求をすることその他の不当な行為をしてはならない。

(県の責務)

第四条 県は、第二条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、多様性を認め合う共生社会づくりに関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(県民の責務)

第五条 県民は、基本理念にのっとり、多様性を認め合う共生社会づくりについての理解を深めるとともに、県が実施する多様性を認め合う共生社会づくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第六条 事業者は、基本理念にのっとり、多様性を認め合う共生社会づくりについての理解を深めるとともに、事業活動を行うに当たり、多様性を認め合うことができるようにするために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 事業者は、県が実施する多様性を認め合う共生社会づくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。

(教育に携わる者の責務)

第七条 学校教育その他の教育に携わる者は、基本理念にのっとり、多様性を認め合う共生社会づくりを目的とした教育を行うよう努めなければならない。

(市町村に対する協力)

第八条 県は、市町村が多様性を認め合う共生社会づくりに関する施策を策定し、及び実施しようとするときは、情報の提供、助言その他の必要な協力を行うものとする。

(基本的施策)

第九条 県は、県民及び事業者の多様性を認め合う共生社会づくりについての理解を深めるため、学習の機会の提供、広報活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、第三条各項に規定する行為に関する相談に応ずるため、必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

(基本方針)

第十条 知事は、多様性を認め合う共生社会づくりに関する施策の総合的な推進を図るため、多様性を認め合う共生社会づくりに関する基本方針(以下「方針」という。)を定めるものとする。

2 方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 多様性を認め合う共生社会づくりに関する施策の方向

 前号に掲げるもののほか、多様性を認め合う共生社会づくりに関する施策を総合的に推進するために必要な事項

3 知事は、方針を定めようとするときは、あらかじめ、県民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。方針を変更しようとするときも、同様とする。

(推進体制の整備)

第十一条 県は、多様性を認め合う共生社会づくりに関する施策を総合的に推進するため、必要な推進体制を整備するものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

山梨県多様性を認め合う共生社会づくり条例

令和5年3月24日 条例第15号

(令和5年3月24日施行)