○山梨県スポーツ推進条例
令和三年三月二十九日
山梨県条例第二十四号
山梨県スポーツ推進条例をここに公布する。
山梨県スポーツ推進条例
スポーツは、心身の健康増進、体力の向上、精神的な充足感をもたらすとともに、スポーツを通じて人と人及び地域間での交流が行われることにより、地域の一体感や活力が醸成されるなど、県民生活や地域社会にとって大きな力となっている。
本県は、東京圏に隣接しながら、富士山をはじめとする山々や県土の約八割を占める森林など豊かな自然環境に恵まれている。こうした環境を生かして、本県では登山などのアウトドアスポーツが盛んに行われている。
また、本県は、健康寿命が全国トップレベルの水準にあり、これをさらに伸ばしていくためには県民が生涯にわたりスポーツ活動に参加できる環境が不可欠のものとなっている。
こうした本県の特性を生かし、県民の誰もが、スポーツに親しみ、スポーツの楽しさや感動を味わいながら、健康で豊かな生活を営むことにより、活力ある地域社会を実現することを目指し、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、スポーツの推進に関し、基本理念を定め、県の責務等を明らかにするとともに、スポーツの推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、県民の誰もが生涯にわたりスポーツを楽しみ、もって県民の心身ともに健康な生活及び活力ある地域社会の実現に寄与することを目的とする。
一 スポーツ 心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得等のために個人又は集団により行われる運動競技その他の身体運動をいう。
二 スポーツ活動 スポーツを行い、観覧し、若しくはスポーツを行う者を指導し、又はスポーツの競技会その他の催しの運営に携わる活動をいう。
(基本理念)
第三条 スポーツの推進は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。
一 スポーツに親しむ機会の確保 全ての県民が生涯にわたり、体力、健康状態等に応じて、日常的にスポーツに親しむことのできる機会の確保を図ること。
二 スポーツを楽しむ環境づくり 全ての県民が世代及び障害の有無にかかわらず、安全にスポーツを楽しむことができる環境づくりを図ること。
三 競技水準の向上 本県のスポーツ選手が、国際的又は全国的なスポーツの競技会において優秀な成績を収めることができるよう、競技水準の向上を図ること。
四 スポーツを通じた地域の活性化 本県の社会及び経済の発展につながるようスポーツを通じた地域の活性化を図ること。
(県の責務)
第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、スポーツの推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施するものとする。
(県民の役割)
第五条 県民は、基本理念にのっとり、スポーツが県民生活及び地域社会で果たす役割について理解を深め、スポーツの推進に主体的に取り組むよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第六条 事業者は、基本理念にのっとり、スポーツが県民生活及び地域社会で果たす役割について理解を深め、従業者のスポーツ活動への参加の促進に努めるとともに、スポーツの推進に主体的に取り組むよう努めるものとする。
(スポーツ関係団体及びスポーツ関係者の役割)
第七条 スポーツ関係団体及びスポーツ関係者は、基本理念にのっとり、スポーツの普及及び競技水準の向上を図り、スポーツの推進に主体的に取り組むよう努めるものとする。
(相互連携)
第八条 県、県民、事業者、スポーツ関係団体及びスポーツ関係者は、スポーツの推進に当たっては、相互の連携が図られるよう努めるものとする。
2 県は、スポーツの推進に当たっては、市町村との連携を図るとともに、市町村がスポーツの推進に関する施策を実施するための助言その他の必要な協力を行うよう努めるものとする。
(推進計画)
第九条 県は、スポーツの推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、スポーツ基本法(平成二十三年法律第七十八号)第十条に規定する地方スポーツ推進計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。
2 県は、推進計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
3 前項の規定は、推進計画の変更について準用する。
(生涯スポーツの推進)
第十条 県は、全ての県民が、生涯にわたって、体力、年齢、適性、健康状態等に応じて、スポーツに親しむことができるよう、県民がスポーツ活動に参加しやすい環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 県は、スポーツを通じた県民の心身の健康の保持増進、体力の向上、疾病の予防等に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
3 県は、県民のスポーツの観覧及びスポーツを支える活動への参画を促進するため、スポーツ及びボランティアに関する情報の提供その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(子どものスポーツ機会の充実)
第十一条 県は、子どもの心身の健全な発達並びに体力及び運動能力の向上を図るため、子どもがスポーツ活動に参加する機会の提供その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 県は、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校をいう。)におけるスポーツ活動の充実を図るため、教員及び学校におけるスポーツ活動を指導する者の資質の向上、地域におけるスポーツの指導者の活用その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(障害者のスポーツ活動の推進)
第十二条 県は、障害者がその障害の種類及び程度に応じ、自主的かつ積極的にスポーツ活動に参加することができるよう、スポーツ活動を行う機会の提供、障害者のスポーツ活動に携わる人材の育成その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(競技水準の向上)
第十三条 県は、競技水準の向上を図るため、スポーツ選手の計画的な育成並びに指導者の育成及び確保に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 県は、スポーツ選手の健康の保持、安全の確保及びドーピングの防止を図るため、スポーツによる事故の防止、感染症対策、ドーピングの防止等に関する知識の普及に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(スポーツにおける健全性等の向上)
第十四条 県は、スポーツにおける健全性等の向上を図るため、体罰、暴力その他のハラスメント行為の防止のために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(スポーツ環境の充実)
第十五条 県は、県民のスポーツ活動の場の充実を図るため、スポーツ施設の整備及び管理を行うとともに、利用の促進のため必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2 県は、県が設置するスポーツ施設の管理を行うに当たっては、利用者の安全の確保のために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(スポーツを通じた地域の活性化)
第十六条 県は、スポーツを通じて、地域の活性化を図るため、豊かな自然環境等の本県の特性を生かし、スポーツツーリズムの推進等地域産業の振興に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
(顕彰)
第十七条 県は、県民のスポーツに対する関心及びスポーツを行う意欲を高めるため、スポーツで特に優秀な成績を収めた者及びスポーツの推進に特に功績があったと認められる者の顕彰をするよう努めるものとする。
(財政上の措置)
第十八条 県は、スポーツの振興に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。