○山梨県監査基準

令和二年四月一日

山梨県監査委員告示第三号

地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号。以下「法」という。)第百九十八条の四第一項の規定に基づき、山梨県監査委員が行う監査、検査、審査その他の行為の適切かつ有効な実施を図ることを目的として、山梨県監査基準を次のように定める。

山梨県監査基準

第一章 一般基準

(監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為の目的)

第一条 山梨県監査委員(以下「監査委員」という。)が行う監査、検査、審査その他の行為は、県の事務の管理、執行等について、法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的な実施を確保し、県民の福祉の増進に資することを目的とする。

2 監査委員は、監査基準に従い公正不偏の態度を保持し、正当な注意を払ってその職務を遂行し、これにより自ら入手した証拠に基づき意見等を形成し、結果に関する報告等を決定し、これを議会、知事等に提出するものとする。

(監査等の範囲及び目的)

第二条 監査、検査、審査その他の行為のうち、この基準における監査等は次の各号に掲げるものとし、それぞれ当該各号に定めることを目的とする。

 財務監査(定例監査及び随時監査をいう。以下同じ。) 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。

 行政監査 事務の執行が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。

 財政的援助団体等監査 県が補助金、交付金、負担金等の財政的援助を与えている団体、県が出資している団体、県が借入金の元金又は利子の支払を保証している団体、県が受益権を有する信託の受託者及び県が公の施設の管理を行わせている団体に関し、県がこれらの団体に対し行う財政的援助等に係る出納その他の事務の執行が当該財政的援助等の目的に沿って行われているか監査すること。

 例月現金出納検査 会計管理者等による現金の出納事務が正確に行われているか検査すること。

 決算審査 決算その他関係書類が法令に適合し、かつ正確であるか審査すること。

 基金運用状況審査 基金の運用の状況を示す書類の計数が正確であり、基金の運用が確実かつ効率的に行われているか審査すること。

 健全化判断比率等審査 健全化判断比率及び資金不足比率並びにそれらの算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ正確であるか審査すること。

 内部統制評価報告書審査 知事が作成した内部統制評価報告書について、知事による評価が適切に実施され、内部統制の不備について重大な不備に当たるかどうかの判断が適切に行われているか審査すること。

2 法令の規定により監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為(監査等を除く。)については、法令の規定に基づき、かつ、この基準の趣旨に鑑み、実施するものとする。

(倫理規範)

第三条 監査委員は、高潔な人格を維持し、誠実に、かつ、この基準に則ってその職務を遂行するものとする。

(独立性、公正不偏の態度及び正当な注意)

第四条 監査委員は、独立的かつ客観的な立場で公正不偏の態度を保持し、その職務を遂行するものとする。

2 監査委員は、正当な注意を払ってその職務を遂行するものとする。

(専門性)

第五条 監査委員は、県の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有するとともに、その職務を遂行するに当たっては、自らの専門能力の向上と知識の蓄積を図り、その専門性を維持及び確保するため研鑽に努めるものとする。

2 監査委員は、監査委員の事務を補助する職員(以下「事務局職員」という。)に対し、監査委員の職務がこの基準に則って遂行されるよう、県の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関して、自らの専門能力の向上及び知識の蓄積を図るよう研鑽に努めさせるものとする。

(質の管理)

第六条 監査委員は、この基準に則って、その職務を遂行するに当たり求められる質を確保するとともに、事務局職員に対して、質の確保を図る上で必要な指揮及び監督を適切に行うものとする。

2 監査委員は、監査計画、監査等の内容、判断の過程、証拠、結果その他の監査委員が必要と認める事項を監査調書その他の文書として作成し、保存するものとする。

第二章 実施基準

(監査計画)

第七条 監査委員は、監査等を効率的かつ効果的に実施することができるよう、リスク(組織目的の達成を阻害する要因をいう。以下同じ。)の内容及び程度、過去の監査結果、監査結果の措置状況、監査資源等を総合的に勘案し、年間計画及び個別計画を策定するものとする。

2 年間計画は、基本方針、監査等の種類、実施時期、重点事項及び方法に関し、各年度が開始する前に策定するものとする。

3 個別計画は、監査等の対象、実施項目、実施体制、予定期日その他の必要な事項につき、各監査等の実施前に策定するものとする。

4 監査委員は、監査計画の前提として把握した事象若しくは状況が変化した場合又は監査等の実施過程で新たな事実を発見した場合には、必要に応じて適宜、監査計画を修正するものとする。

(リスクの識別と対応)

第八条 監査委員は、監査等(内部統制評価報告書審査を除く。以下この条、次条第二項及び第十八条第三項において同じ。)の対象のリスクを識別し、当該リスクの内容及び程度を検討した上で、監査等を実施するものとする。

(内部統制に依拠した監査等)

第九条 前条の規定によるリスクの内容及び程度の検討に当たっては、内部統制の整備状況及び運用状況について情報を集めた上で、これを判断するものとする。

2 監査委員は、監査等の種類に応じ、内部統制に依拠する程度を勘案し、適切に監査等を行うものとする。

(監査等の実施)

第十条 監査委員は、必要な監査等の証拠を効率的かつ効果的に入手するため、監査計画に基づき、実施すべき監査等の手続を選択し、実施するものとする。

(実施の時期)

第十一条 監査等は、次の各号に掲げる区分に応じおおむね当該各号に定める時期に実施するものとする。

 財務監査

 定例監査(毎会計年度少なくとも一回以上行うもの) 毎年四月から翌年三月までの間

 随時監査(監査委員が必要と認めるとき行うもの) 随時

 行政監査 随時

 財政的援助団体等監査 随時

 例月現金出納検査 毎月二十五日から月末までの間(原則として毎月三十日)

 決算審査

 一般会計及び特別会計を対象とするもの 毎年八月から九月までの間

 公営企業会計を対象とするもの 毎年七月から八月までの間

 基金運用状況審査 毎年八月から九月までの間

 健全化判断比率等審査 毎年八月から九月までの間

 内部統制評価報告書審査 毎年八月から九月までの間

(事前通知)

第十二条 監査等の実施に当たっては、原則として監査等の対象となる機関に対して監査等の種別、監査対象年度(対象を期間とするものにあっては、当該期間)、実施期日、その他必要と認められる事項をあらかじめ通知するものとする。

2 監査委員は、定例監査の期日を、監査の期日の十五日前までに、監査の対象となる機関に通知するものとする。

3 監査委員は、随時監査、行政監査若しくは財政的援助団体等監査の期日を、監査の期日の十日前までに、監査の対象となる機関に通知するものとする。ただし、緊急の必要があるときは、この限りでない。

4 監査委員は、例月現金出納検査の期日を、検査の期日の十五日前までに、検査の対象となる機関に通知するものとする。

(監査等の証拠入手)

第十三条 監査委員は、監査等の結果を形成するため、必要な監査等の証拠を入手するものとする。

2 監査委員は、監査等の証拠を評価した結果、想定していなかった事象若しくは状況が生じた場合又は新たな事実を発見した場合には、適宜監査等の手続を追加することにより必要な監査等の証拠を入手するものとする。

3 監査委員は、財務監査、行政監査若しくは財政的援助団体等監査の実施に当たり、関係人の出頭を求め、若しくは関係人について調査し、又は関係人に対し帳簿、書類その他の記録の提出を求めるときは、当該期日の十日前までに、その旨を関係人に通知するものとする。ただし、緊急の必要があるときは、この限りでない。

(各種の監査等の有機的な連携及び調整)

第十四条 監査委員は、各種の監査等が相互に有機的に連携して行われるよう調整した上で、監査等を行うものとする。

(事務局職員に行わせる監査等)

第十五条 監査委員は、監査等の実施に当たり、あらかじめ事務局職員に実務を主とした監査等(以下「予備監査等」という。)を行わせることができるものとする。

2 事務局職員は、予備監査等が終了したときは、その概要及び結果を速やかに監査委員に報告するものとする。

3 監査委員は、予備監査等の結果に基づき監査等を行うものとする。

(監査専門委員、外部監査人等との連携)

第十六条 監査委員は、必要に応じて監査専門委員を選任し、必要な事項を調査させることができる。

2 監査委員は、監査等の実施に当たり、効率的かつ効果的に実施することができるよう、監査専門委員、外部監査人等との連携を図るものとする。

第三章 報告基準

(監査等の結果に関する報告等の作成及び提出)

第十七条 監査委員は、財務監査、行政監査及び財政的援助団体等監査に係る監査の結果に関する報告を作成し、議会及び知事並びに関係のある委員会又は委員に提出するものとする。

2 監査委員は、前項の監査の結果に関する報告については、当該報告に添えてその意見を提出することができるとともに、当該報告のうち特に措置を講ずる必要があると認める事項については、対象となる機関に対し、勧告することができる。

3 監査委員は、例月現金出納検査の結果に関する報告を作成し、議会及び知事に提出するものとする。

4 監査委員は、決算審査、基金運用状況審査、健全化判断比率等審査及び内部統制評価報告書審査を終了したときは、意見を知事に提出するものとする。

5 監査委員は、定例監査の結果に関する報告の提出は監査の終了した日から三十日以内に、その他の監査及び検査の結果に関する報告の提出は監査又は検査の終了後速やかに、これを行わなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りでない。

6 監査委員は、第四項の意見を、審査に付された日から三十日以内に、知事に提出するものとする。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りでない。

(監査等の結果に関する報告等への記載事項)

第十八条 監査等の結果に関する報告等には、原則として次に掲げる事項その他監査委員が必要と認める事項を記載するものとする。

 この基準に準拠している旨

 監査等の種類

 監査等の対象

 監査等の着眼点又は評価項目

 監査等の実施内容

 監査等の結果

2 前項第六号の監査等の結果には、第二条第一項各号に掲げる監査等の区分に応じて、当該各号に定める目的を踏まえて監査委員が必要と認める事項を記載するものとする。

3 監査委員は、是正又は改善が必要である事項が認められる場合、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等を実施する過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。

4 監査委員は、内部統制評価報告書審査においては、知事による評価が評価手続に沿って適切に実施されていないと考えられる場合及び内部統制の不備が重大なものに当たるかどうかの判断が適切に行われていないと考えられる場合は、その内容を記載するものとする。

(合議)

第十九条 監査等のうち、次に掲げる事項については、監査委員の合議によるものとする。

 監査の結果に関する報告(財務監査、行政監査及び財政的援助団体等監査に係るものに限る。以下同じ。)の決定

 監査の結果に関する報告に添える意見の決定

 監査の結果に関する報告に係る勧告の決定

 決算審査に係る意見の決定

 基金運用状況審査に係る意見の決定

 健全化判断比率等審査に係る意見の決定

 内部統制評価報告書審査に係る意見の決定

2 監査委員は、監査の結果に関する報告の決定について、各監査委員の意見が一致しないことにより、前項の合議により決定することができない事項がある場合には、その旨及び当該事項についての各監査委員の意見を議会及び知事並びに関係のある委員会又は委員に提出するとともに、公表するものとする。

(公表)

第二十条 監査委員は、次に掲げる事項を監査委員全員の連名により公表するものとする。

 監査の結果に関する報告の内容

 監査の結果に関する報告に添える意見の内容

 監査の結果に関する報告に係る勧告の内容

2 監査委員の行う監査の結果に関する報告その他の法に定めのあるものの公表は、山梨県公報に登載して行うものとする。

3 第十七条の規定による監査等の結果に関する報告等の提出及び前項の規定による公表が終了するまでは、これを外部に発表することができない。ただし、監査委員が協議により必要と認めた場合は、この限りでない。

4 監査委員は、定例監査の結果に関する公表は監査の終了した日から三十日以内に、その他の監査の結果に関する公表は監査の終了後速やかに、これを行わなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りでない。

(措置状況の公表等)

第二十一条 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する報告に係る勧告をした者から、措置の内容の通知を受けた場合は、当該措置の内容を公表するものとする。

2 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する報告に係る勧告をした者に対し、適時、措置状況の報告を求めるよう努めるものとする。

この告示は、公布の日から施行する。

山梨県監査基準

令和2年4月1日 監査委員告示第3号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第1編 規/第1章 織/第3節 監査委員
沿革情報
令和2年4月1日 監査委員告示第3号