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ページID:80821更新日:2017年7月5日

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遺跡トピックスNo.0466縄文時代のエゴマ

笛吹市の遺跡

0014経塚古墳-復元古墳-2005年8月17日~2005年8月24日

0217経塚古墳-内部構造-2009年12月2日~2009年12月9日

0251経塚古墳-石室の石積み-2010年8月18日~2010年8月24日

0280経塚古墳-列石-2011年3月9日~2011年3月16日

0396経塚古墳-八角形の意味-2014年6月25日~2014年7月11日

0019桂野遺跡-石皿・磨石-2005年9月21日~2005年9月28日

0100桂野遺跡-陥し穴-2007年6月21日~2007年6月26日

0111桂野遺跡-前期土偶-2007年9月12日~2007年9月18日

0262桂野遺跡-縄文時代前期の住居跡-2010年11月4日~2010年11月10日

0265桂野遺跡-土器に描かれた物語-2010年11月24日~2010年12月1日

0020四ツ塚古墳群-玉類-2005年9月28日~2005年10月5日

0235四ツ塚古墳群-装身具-2010年4月28日~2010年5月6日

0022狐原遺跡-墨書土器-2005年10月12日~2005年10月19日

0433狐原遺跡-平瓶-2016年2月5日~2016年2月16日

0059平林2号墳-副葬品-2006年8月3日~2006年8月9日

0079平林2号墳-青銅鏡-2007年1月16日~2007年1月24日

0102平林2号墳-ガラス玉-2007年7月4日~2007年7月10日

0202平林2号墳-馬具類や装身具類-2009年8月19日~2009年8月25日

0240平林2号墳-勾玉-2010年6月2日~2010年6月8日

0337平林2号墳-勾玉-2012年5月9日~2012年5月15日

0081身洗沢遺跡-田んぼと木製品-2007年1月31日~2007年2月7日

0230身洗沢遺跡-プラント・オパール-2010年3月24日~2010年3月31日

0339身洗沢遺跡-農具の今と昔-2012年5月23日~2012年5月29日

0417身洗沢遺跡-2015年5月29日

0427身洗沢遺跡-2015年10月14日~2015年10月27日

0432身洗沢遺跡-弥生時代後期の木製品(クワ)2015年1月21日~2015年2月3日

0460身洗沢遺跡-弥生時代の桃の種-2017年4月27日~2017年5月10日

0125水口遺跡-柄鏡形敷石住居跡(1号住居跡)-2008年1月16日~2008年1月23日

0355水口遺跡-敷石住居跡(3号住居跡)-2012年9月19日~2012年9月27日

0135花鳥山遺跡-エゴマ種子塊-2008年3月26日~2008年4月9日

0194花鳥山遺跡-縄文時代の食生活を知る遺物-2009年6月24日~2009年7月1日

0199花鳥山遺跡-世界最大級の縄文土器?-2009年7月29日~2009年8月4日

0406花鳥山遺跡-耳飾り-2014年11月26日~2014年12月09日

0145竜安寺川西遺跡-発掘調査速報-2008年6月19日~2008年6月25日

0155竜安寺川西遺跡-発掘調査速報2-2008年8月27日~2008年9月2日

0165竜安寺川西遺跡-発掘調査速報3-2008年11月5日~2008年11月11日

0179竜安寺川西遺跡-ミニチュア土器-2009年3月4日~2009年3月11日

0147境川中丸遺跡-発掘調査速報-2008年7月2日~2008年7月8日

0157境川中丸遺跡-発掘調査速報-2008年9月10日~2008年9月18日

0181境川中丸遺跡-S字状口縁台付甕-2009年3月18日~2009年3月24日

0148一の沢遺跡-縄文時代中期の住居-2008年7月9日~2008年7月15日

0293一の沢西遺跡-ヒトをモチーフにした土器-2011年6月29日~2011年7月5日

0307一の沢遺跡-縄文土器-2011年10月05日~2011年10月12日

0350一の沢遺跡-みんなで応援しよう!「ミュージアムキャラクターアワード2012」のいっちゃん-2012年8月15日~2012年8月21日

0150稲山遺跡-発掘調査速報-2008年7月23日~2008年7月29日

0160稲山遺跡-発掘調査速報2-2008年10月1日~2008年10月7日

0170稲山遺跡-発掘調査速報3-2008年12月10日~2008年12月16日

0209稲山遺跡-常滑甕-2009年10月7日~2009年10月13日

0229稲山遺跡-すり鉢-2010年3月17日~2010年3月23日

0288稲山遺跡-かわらけ-2011年5月25日~2011年6月1日

0151三光遺跡-発掘調査速報-2008年7月30日~2008年8月5日

0166三光遺跡-発掘調査速報5-2008年11月12日~2008年11月19日

0171三光遺跡-発掘調査速報6-2008年12月17日~2008年12月23日

0186三光遺跡-耳飾り他-2009年4月30日~2009年5月6日

0173二之宮遺跡-食材をふかす道具-2009年1月14日~2009年1月27日

0284二之宮遺跡-置きカマド-2011年4月20日~2011年4月27日

0219亀甲塚古墳-盤龍鏡-2009年12月16日~2009年12月24日

0264亀甲塚古墳-碧玉製管玉-2010年11月17日~2010年11月23日

0234御坂中丸遺跡-縄文時代早期-2010年3月24日~2010年4月27日

0275馬乗山2号墳-甲府盆地最後の前方後円墳-2011年2月2日~2011年2月9日

0331地耕免遺跡-斎串と馬の歯-2012年3月21日~2012年4月2日

0354中丸東遺跡-縄文時代前期の土器と古墳時代の住居跡-2012年9月12日~2012年9月19日

0356石橋条里制遺構-古代の土地区画整理-2012年9月27日~2012年10月10日

0371太鼓畑遺跡-調査概要-2013年5月1日~2013年5月16日

0382六ッ長遺跡-調査概要-2013年10月9日~2013年10月23日

土器に残されたエゴマの果実

 花鳥山遺跡の出土土器は、縄文時代前期後葉の諸磯式と呼ばれる型式の土器で、最新の年代測定研究によると、その年代は6100~5600年ほど前と考えられています。

エゴマの圧痕を持つ土器

エゴマの圧痕を持つ諸磯C式土器

 これらの土器を再度丹念に調べ、表面に植物などの圧痕(あっこん)があるかを観察してみました。圧痕というのは、土器が焼かれる前の粘土がまだ柔らかい時に、その表面に植物や昆虫が押し当てられて、プリントされた痕跡を指します。

 この圧痕のある空洞にシリコンゴムを注入し、型取りをしたレプリカを走査型電子顕微鏡でみると、数千年前の植物や昆虫などを鮮明に観察することができます。レプリカ法と呼ばれるこの方法で、花鳥山遺跡の縄文土器からエゴマの果実が数多く発見されました。

エゴマの果実圧痕

走査顕微鏡で観察したエゴマの果実圧痕

エゴマとシソは、実は同じ植物?!

エゴマ畑

現在のエゴマ畑

 エゴマとシソは、実はペリラ・フルテセンス(Perillafrutescens)と呼ばれる同じ植物に分類されます。エゴマの学名はPerilla frutescens var.frutescens、シソはPerilla frutescens var.crispaで、2つの植物は変種の違いになり、両者は自然交配が可能です。

 ところが、この2つの植物は食品栄養学的には全く違う性質を持っています。100グラム中の成分を比較すると、シソはタンパク質3.4グラム、脂質0.1グラム、炭水化物8.9グラム、エネルギー量4.1キロカロリーであるのに対し、エゴマはタンパク質17.7グラム、脂質43.4グラム、炭水化物29.4グラム、エネルギー量54.4キロカロリーと極めて栄養価が高く、脂質を含む割合が突出しています。

縄文人にとって、エゴマはとても大切な食べものであったようです。

 

 

土器に練り込まれたエゴマ

 表面に圧痕がある土器をX線透過装置(レントゲン)で観察すると、土器胎土の内部にも、植物の種実らしき空洞があることが分かってきました。土器内部の痕跡は肉眼では見ることができないため、潜在圧痕(せんざいあっこん)と呼ばれています。

花鳥山出土時のX線画像

花鳥山遺跡出土土器のX線画像

 この潜在圧痕の正体が何かを知るために、CTスキャン分析装置を用いて、さらなる観察を行いました。すると、表面で観察されたエゴマと大きさや形がほぼ同じで、エゴマに特徴的な網状の凹凸が観察されました。したがって、土器の中にもたくさんのエゴマ果実が隠れていることが分かりました。

CTスキャン画像

土器胎土中に混入したエゴマ果実のCTスキャン画像

 

 これらの果実は、おそらく土器製作に使う粘土の練り込み段階で混入されたものと考えられます。

 縄文人は、土器の中になぜエゴマの果実を入れたのでしょうか?謎が謎をよんで、考古学者を悩ませています。

 

 

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