ふるさと山梨-中学校版-(デジタルブック版)
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72(2)衣 山梨県東部(郡内地域)では,農業を補う生産手段として,機織りをはじめました。機織りが記録にあらわれるのは,江戸時代初期のことです。羽織や和服の裏地として発展し,明治維新後,高級な絹織物として扱われ,盛んに生産されました。当時は同じ「かいき」と発音しても文字での表記は「海気」が多く,明治になって,山梨で一番織られていたことから,その当時の山梨県知事・藤ふじ村むら紫し郎ろうが,甲斐の国の甲斐をとって「甲斐絹」としたともいわれています。糸が織物になるまでには,次のような工程があります。甲斐絹のできるまで 大正時代には,電力織機が導入され,大量生産できるようになりました。また近年,郡内地域全体の織物は統一して「ふじやま織」として商標登録されています。繭まゆから糸を引き出す。繭を湯で煮て柔らかくし,7~8本の糸をまとめて1本とし,ワクに巻き取る。糸数を数えながらたて糸を組んでいく。水に浸したワクから糸を引き管に巻き取る。さらに糸によりをかけ別のワクに巻き取る。織しょっ機きで織りやすくするため,たて糸の幅と糸すじを整えて,オマキに巻きとる。たて糸の長さと量を整える。平織り,綾織り,繻しゅ子す織りなどの違いにより,よこ糸を経たて糸の隙間にヒを使って通していく。富士の裾野に自生する植物などの天然染料を使う。織り上がった布をより美しく商品価値の高い物に加工する。●身近にどのようなふじやま織を使った製品があるか調べてみましょう。糸取り組み込み糸撚より機はた巻まき整せい経けい織り染色整理山梨県でなぜ養蚕が盛んになったのだろう。私も,ふじやま織の新しい商品を考えてみたいな。写真提供:ふじさんミュージアム蚕かいこ繭まゆ絹糸布ふじやま織 土産例2015.9.20山梨日日新聞

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