ふるさと山梨-中学校版-(デジタルブック版)
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67第1章 ふるさと山梨を大観して第2章 心のふるさと富士山第3章 ふるさと山梨を見つめて第4章 私たちのまちを見つめて第5章 未来を考える資 料 編空間を演出する美意識に迫る 須田 悦弘 SUDA, Yoshihiro 須田さんの木彫作品は,一見すると"本物"と見み紛まがうほど精巧で美しく,見る者に驚きと感動を与えます。超絶なリアルさが,逆に現実に目を向けさせ,質感や香り,色彩など,さまざまな感覚を刺激します。 作品そのものの完成度もさることながら,それが置かれる空間も須田さんの作品の重要な要素です。部屋の隅など,床やコンクリートから生えるように木彫の雑草を設置したり,椿を描いた屏風の傍らに木彫の椿を置いたりしています。作品制作においては,まず場所を下見してから,何をどのようにつくるか決めることが多いそうです。美術館など,一見して壁や天井が真白の箱の中でも,過去の展覧会の痕跡や建物の構造など,必ずそれぞれ印象が変わると言います。そして,例えば道を歩いているときに,コンクリートの隙すき間から雑草が生えているのを見つけたときの,はっとする,そういう「感じ」を美術館でも感じてもらいたいそうです。普段の生活の中で,ちょっと立ち止まって見つめてみたら,それまで気づかなかったことに出会えるかもしれません。●超絶技巧の須田作品 笛吹市出身。美術家。大学在学中の課題で,木彫でスルメをつくったことがきっかけとなり,植物を木で彫って,日本画の顔料で彩色し,それが置かれた空間も作品としている。 昔の彫刻家や絵描きは,一生かけて自分の仕事を追求していました。例えばレオナルド・ダ・ヴィンチは,長い時間をかけて「モナ・リザ」にたどり着いたと思います。(中略)自分でも,“木を彫る”ことに関しては,5年前,10年前には分からなかったことが分かるようになったという感覚があります。 同じ植物でも,繰り返し彫りたい植物がたくさんあります。●“木を彫る”ことについて(須田さんの言葉)「無音花畑」2005年一般の参加者によって,スーパーの袋でつくられた花を,廃校に展示した作品です。「種をまく人」の下に展示した「雑草」。19世紀フランスで最下層の農民を主役にしたミレー作品と雑草をモチーフとした須田さんの作品。時空を超えた作品の共演からどんなことを感じますか。「辛夷(こぶし)」2002年「雑草」2002年須田さんの作品と丸山さんの作品の表現について,共通点と相違点をあげてみましょう。

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