ふるさと山梨-中学校版-(デジタルブック版)
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45第1章 ふるさと山梨を大観して第2章 心のふるさと富士山第3章 ふるさと山梨を見つめて第4章 私たちのまちを見つめて第5章 未来を考える資 料 編②平和な世界を戦争の現実を伝え平和の尊さを訴えた山やま本もと美み香か「一度動き出した戦争の歯車は簡単には止められません。だからこそ,戦争を始めてはいけないのです。」1967年1974~1983年1983~1990年1990年1995年1996年2003年2012年北海道生まれ,山梨県都留市で育つ都留市立禾生第一小学校・都留市立都留第二中学校で学ぶ山梨県立桂高校・都留文科大学で学ぶ朝日ニュースターに入社,報道記者,ディレクターとして活動朝日ニュースターを退職,アジアプレスに所属ジャパンプレスに所属,世界の紛争地域を取材イラク戦争でボーン・上田記念国際記者賞特別賞受賞シリア内戦の取材中,アレッポで死去,都留市市民栄誉賞を受賞 山本美香さんは若い世代に自分の経験を伝えていきたいと,積極的に講演活動を行いました。2009(平成21)年,笛吹市立石和中学校での講演で山本さんは次のように語り,生徒の質問に丁寧に応えてくれました。 (Q:生徒 A:山本さん)Q:なぜジャーナリストになったのですか。A:本当のことを知りたい。そして伝えたい。紛争地域の人は苦しいことを訴えることができない。話を聴いて,伝えて,外から戦争を解決する手伝いをしたいから。Q:仕事をしていてつらいことは何ですか。A:一番は現状をすぐに変えられないこと。お医者さんのように目の前の人をすぐに助けることが出来ない。でも,時間がかかっても自分の役割を果たすことで平和へとつなげていけると思っています。Q:どうしてこの仕事を続けているのですか。A:「戦争」という嫌なことに目をつむってはいけない。平和な世界に導くためにはまず知ること,伝えること。そんな思いで続けています。Q:やりがいはなんですか。A:傷ついて苦しんでいる人にカメラを向けると「帰れ」と言われることもある。しかし,そう言いながら本当は自分たちの話を聴いてほしいと思っている。紛争地の人々は「自分たちは忘れ去られた。」と思っている。そういう人たちの声,姿を伝えたい。そんな気持ちが伝われば,最後には「よく来てくれた。今も生きていることを伝えてほしい。」,「忘れないでくれてありがとう。」そんな言葉をくれる。心がしびれます。●世界中で起こっている紛争の原因について調べてみましょう。●平和のためにどのような取り組みが行われているでしょうか。なぜ,人々は争うのかな。山本さんはなぜ紛争地を取材し続けたのかな。   2004年3月フセイン政権崩壊から一年後のイラクを取材する山本美香(遺族提供)アフリカのウガンダで,ゲリラ兵だった少年ターティと山本美香=1999年(遺族提供)講演後,生徒に届けられたメッセージの一部 世界では今,この瞬間も戦争の恐怖の中で暮らしている子どもたちがたくさんいます。学校へも行けず,食べ物もなく,住む家も失った人々。それでもたくましく生きている姿は私たちに人間の強さを教えてくれます。一刻も早く,世界が平和になりますように。未来をつくっていく皆さんに大きな期待を寄せています。       2009年10月12日 ジャパンプレス 山本美香

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