ふるさと山梨-中学校版-(デジタルブック版)
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25第1章 ふるさと山梨を大観して第2章 心のふるさと富士山第3章 ふるさと山梨を見つめて第4章 私たちのまちを見つめて第5章 未来を考える資 料 編 北斎の「冨嶽三十六景」は,富士山という一つの対象をさまざまな場所から表わし,連作として描いたという点で特筆すべき作品であったため,歴史的に重要な作品とされています。一方で,北斎の取り組みから時を経て,「三十六富士」に取り組んだ萩原は,北斎の先例を意識し,連作という形式を踏とう襲しゅうしつつも,独自の表現を志して制作しました。また萩原はこの作品について,「故郷を,父母を恋うる,私の心の詩である」と語っています。比べてみよう!「自分の」富士を彫る「三十六富士」春日遅々(しゅんじつちち)明と暗と県境錦秋(けんざかいきんしゅう)全て 山梨県立美術館 蔵篭坂慕情(かごさかぼじょう)河口湖黄昏(かわぐちこたそがれ)三坂残月(みさかざんげつ)石和早春(いさわそうしゅん)萩原英雄(1913~2007年) 甲府市出身の萩原英雄は,木版画の作品で世界的に評価された人物です。浮世絵で用いられた伝統的な技法のみならず,両面摺りや凹版摺りなど,新たな技法を開発して表現しました。中でも富士山を主題とした連作として,「三十六富士」のほか,合計3シリーズ55点を残しました。両者の作品には,表現としてどのような違いがあるのでしょうか。作品を観察して考えてみましょう。萩原は富士山に対して,どのような思いをもっていたのでしょうか。作品の特徴とあわせて,考えてみましょう。

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