ふるさと山梨-中学校版-(デジタルブック版)
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24~2つの版画連作~富士を刻む 富士を描いた人物といえば,葛かつ飾しか北ほく斎さいを思い浮かべる人も多いでしょう。その約150年後,山梨県出身の作家,萩はぎ原わら英ひで雄おは,北斎に挑むように,富士山を取材した連作に取り組みました。 「冨嶽三十六景」は,北斎一人の手で作られた作品ではありません。図案を描く絵師である北斎のほか,版木を彫る彫師,版木を用いて紙に印刷する摺すり師しなど,数多くの職人の手を経て,完成されました。版画に見られる美しい線やグラデーションは,彫師や摺師の技術によって生み出されたものです。 一方,萩原の「三十六富士」は,木版を彫る工程も,紙に摺る工程も,すべて作家一人の手によるものです。萩原は,作品に効果を与えるこれらの工程を表現の重要な要素として,自身の手で表現することを重要視していました。比べてみよう!二つの作品が生み出されるまで葛飾北斎(1760~1845年)「冨ふ嶽がく三十六景」 浮世絵師として生涯に多くの作品を発表しました。「冨嶽三十六景」は70代の時に発表したものです。人気を博したため,10枚が追加され,計46枚になりました。凱風快晴(がいふうかいせい)甲州伊沢暁(こうしゅういさわのあかつき)甲州三嶌越(こうしゅうみしまごえ)甲州犬目峠(こうしゅういぬめとうげ)甲州石班澤(こうしゅうかじかざわ)甲州三坂水面(こうしゅうみさかすいめん)身延川裏不二(みのぶがわうらふじ)諸人登山(もろびととざん)全て 山梨県立博物館 蔵5

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