ふるさと山梨-中学校版-(デジタルブック版)
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23第1章 ふるさと山梨を大観して第2章 心のふるさと富士山第3章 ふるさと山梨を見つめて第4章 私たちのまちを見つめて第5章 未来を考える資 料 編  文学作品の中の富士山どのような場面で,富士山が登場するのか,作品を読んでみましょう。さまざまな時代に,さまざまな作家が,富士山を取り上げていますね。富士の山を見れば,五月のつごもりに,雪いと白う降れり在原業平とされる人物が,東下りの際,富士山を眺めて詠む。「伊勢物語」富士の山を見れば…… 君をのみ 千代にと祝ふ世の人の 思ひするがの 富士の嶺の 燃ゆる思ひも…… (長歌)「古今和歌集」 紀貫之富士の嶺の 燃ゆる思ひもあまのはら 富士の 煙の 春のいろの霞になびく あけぼののそら(短歌)「新古今和歌集」 前大僧正慈円富士の煙の春のいろの江戸時代の代表的長編読本。「南総里見八犬伝」 滝沢馬琴夏の富士いまだ装を更めず高浜虚子に俳句を学ぶ。笛吹市境川町出身。「心像」 飯田蛇笏初富士や樹海の雲に青もろがへり鷹不二が笑っている石が笑っている笛吹川が……。放浪の歌人。「迦か葉しょう」 山崎方代不二が笑っている蛇笏の四男。自然を力強く詠む。「百ひゃっ戸この谿たに」 飯田龍太強霜の富士や力を裾までもなまよみの 甲斐の国 うち寄する 駿河の国とこちごちの 国のみ中ゆ 出で立てる 不尽の高嶺は天雲も い行きはばかり 飛ぶ鳥も……(長歌)「万葉集」 日本最古の和歌集 高橋虫麻呂不ふ尽じの高嶺は帝は,かぐや姫からもらった不死の薬を富士山頂で燃やしてしまう……。「竹取物語」日本最古の物語と言われているその山を冨士の山とは名付けける大藤村,酒折宮,猿橋などが描かれている。「ゆく雲」 樋口一葉西南にそびゆる白妙の富士の嶺は三四郎は東京帝国大学に入学するために列車で上京する。「三四郎」 夏目漱石三四郎は富士山の事をまるで忘れていた御坂峠にある天下茶屋に滞在したときのことを基に執筆した作品。「富岳百景」 太宰治冨士には月見草がよく似合ふ富士山測候所で山岳気象観測に従事した経験から多くの山岳を題材にした小説を残す。「強力伝」 新田次郎昭和7年の夏,冨士山頂は…足立たば不尽の高嶺のいただきをいかづちなして踏み鳴らさましを「竹乃里歌」 正岡子規足立たば不尽の高嶺のいただきを見る見るにかたちを変ふる冬雲を  抜きいでて高き富士の白砂「渓谷集」 若山牧水抜きいでて高き富士の白砂エッセイ「富士山とおせっかい」より「図書館で暮らしたい」 辻村深月かたわらに富士山の気配を感じ「五月三十日富士先ず目にかかる」「蕉翁句集」 松尾芭蕉目にかかる時やことさら五月富士4

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