ふれあい特集号vol.55(デジタルブック版)
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「ピラミッドアジサイ」新品種に高まる期待14 山梨の産業の活性化や県民生活の向上を目指す試験研究機関の紹介高冷地野菜・花き振興センター花き・応用育種科穴澤 拓未研究員  山梨県農事試験場(明治33年創立)を前身とする山梨県総合農業技術センターの支所である高冷地野菜・花き振興センターには、花き・応用育種科と野菜作物科があり、地域の特性に合わせた花き・野菜・作物などの品種育成や栽培試験を行っています。 私が所属する花き・応用育種科では、県内産地の育成のため、新品種開発や栽培技術の開発などを行うとともに、種苗生産にも取り組んでいます。 センターでは、新たなオリジナリティーのある商材の導入を目指し、10年ほど前にアジサイの仲間で円すい形の花が特徴的な「ピラミッドアジサイ」に着目しました。一般的なアジサイは前年の枝に花が付くのに対し、ピラミッドアジサイは新しい枝に花を付けます。その性質を利用し、100日程度で鉢花の商品化が可能となる短期栽培技術を開発しました。平成24年には生産者グループ「ピラミッドアジサイ研究会」が設立され、少しずつ出荷量が増えています。需要期に合わせた開花時期の調節やサイズ展開など課題もありますが、生産者と一緒に試行錯誤を重ねることで、今では市場でも注目されるようになりました。今後は花形が富士山にも似ていることから、東京オリンピック・パラリンピックのような、山梨もしくは日本をPRする場面における活用も期待されます。 高冷地野菜・花き振興センターvol.❸総合農業技術センターの支所である高冷地野菜・花き振興センターでは、山梨の花き産地の維持強化を図るため、他産地との差別化を図るオリジナル性の高い花きとして「ピラミッドアジサイ」の新品種開発の研究に取り組んでいます。ピラミッドアジサイに山梨の花き産地の可能性を見つけるか

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