ふれあい特集号vol.54(デジタルブック版)
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07ふれあい 山田 博之 主任研究員富士技術支援センター機械電子技術部 センターでは、企業が抱えている課題を企業から委託されて試験・開発を行う、課題対応受託研究を行っています。 今回のスワさんの小動物用インプラントの開発支援は、平成24年度に開始しました。その当時、インプラントについては、人間用の評価方法しかなかったので、まず動物用の試験方法の検討から始め、コンピューターシミュレーションを使った設計の支援などを行いました。平成25〜27年度には、国の支援事業を活用してインプラントの低コスト化に対応した加工技術の開発を実施するなど、設計、評価、補助金の情報提供など、製品化に至るまでのさまざまな支援を行っています。インプラントの仕上がりをチェックする、スワの望月専務と、センターの山田主任研究員 昭和45年に精密機械加工の工場として創業しました。平成20年のリーマンショックの影響で業績が落ち込んだとき、受託する形で、医療機器分野に参入しました。 当初は人間の歯科用インプラントや手術用器具の製造を手掛けていましたが、その後、ペットブームを受けて動物用のインプラントのニーズがあることが分かったのです。それまでペット用のものは、9割が海外からの輸入品で、小型犬などに合うサイズはありませんでした。そこで、当社が精密機械加工で培った技術力を生かして、開発することにしました。薬事法などに基づく各種認可を培った技術力を生かして、医療機器分野に挑戦取得し開発を進めていましたが、チタン製インプラントの開発に当たり、数多くの課題がありました。そんなとき、富士技術支援センターから、基礎研究や試験、補助金について、さまざまな支援を受けることができたのです。また、センターの研究員の皆さんや、山梨大学の先生方と連携できたこともスムーズな開発につながりました。 今回の商品化により、これまで難しかった小動物の骨折手術がより確実に容易にできるようになった、という現場の声も聞きます。今後は、全国の獣医師へのセミナーも行うなど普及に努め、さらに複雑な骨折にも対応できる器具の開発も進めていきたいと思っています。商品化された小動物用チタン製インプラントは、ネジが骨を圧迫しないように工夫されている製品化に至るまでの一貫した支援 精密な自動車部品などの製造を手掛けている株式会社スワが、近年、世界的なニーズが高まっている小動物用インプラント(骨折治療用器具)を開発。富士技術支援センターの研究開発力と、同社の技術力の融合により国内初の商品化を実現させました。研究開発と技術支援   │国内初、小動物用インプラントを商品化│未来につなぐ ものづくり産業専務取締役 望月 直樹さん株式会社スワインプラントに組み込まれている精密部品は専門機器で入念に検査する株式会社 スワ(富士吉田市)

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