ふれあい特集号vol.54(デジタルブック版)
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世界を視野に、新技術開発で追究する美しい織物12 山梨の産業の活性化や県民生活の向上を目指す試験研究機関の紹介富士技術支援センター繊維技術部 技術支援科五十嵐 哲也主任研究員  富士技術支援センターは、明治38年に山梨懸工業試験場として開設、昭和61年に山梨県富士工業技術センターとなり、今年4月より、繊維技術部と機械電子技術部からなる「富士技術支援センター」として、地域に密着した支援をさらに強化しています。 センターでは、富士北麓・東部地域の中心産業である織物産業、機械電子産業の振興と技術の高度化を図るため、技術相談、講習会、新技術の研究開発、依頼試験・分析・加工、各種情報提供を行うとともに、企業に対し、機器・設備の開放も実施しています。  私が所属する繊維技術部では富士北麓・東部地域の織物産業振興のための技術支援、研究開発を行っています。この地域の織物のルーツは、江戸時代から高い技術力とデザイン力で人々の心を捉えた高級生地「甲斐絹」にあります。一方、戦後の経済成長の過程における安価な量産品との競争の中、デザインを生み出す伝統が失われてきました。しかし、産地の中から「あの甲斐絹の時代の独自の美しさを育んだ力を取り戻したい」とのうねりが起き、これに呼応してセンターでもさまざまな支援を行っています。 同時に、今年7月、ミラノで開催され 富士技術支援センターvol.❷富士技術支援センターでは、長い歴史を持つ織物産地のさらなる発展を目指して、自然画像をもとにしたジャカード織物の研究開発や海外へのマーケティング活動の支援など、先進的な取り組みを行っています。112年の実績を誇る試験研究機関世界に認められるブランド織物を確立したいか  い き

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