50年のあゆみ
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この度、山梨県消防学校開校50周年を迎えられましたことに心からお慶び申し上げます。 私は平成24年4月から3年間、富士五湖消防本部派遣教官として勤めさせていただきました。24年ぶりに市町村消防から派遣制度が採り入れられた年でもありました。私自身、この派遣教官を志願した理由は、若手の新人職員を自らの手で立派な消防士に育てたいと思ったからです。 いよいよ4月1日から初任教育第55期がはじまり、私の役割は副担当でした。そして、56人の初任学生を前に自己紹介です。さすがに頭が真っ白になり、しどろもどろになったことを今でも覚えています。 1コマ50分の授業は短いようで長い50分でした。威圧的そして、封建的な教育も1つの方法かもしれない。仲良しグループの教育では、消防の使命はもとより自らの命、仲間の命をも脅しかねない。命を懸けた職務であることを伝えるため、両者のバランスをうまく取り入れ、緊張感のある授業、楽しい授業を目指しました。 しかし、専科教育では、入校される 方が私よりも上の階級ばかりで、とて もものが言えない状況であり、講義の 内容はともかく、私は胸についている教官のバッジを頼りに入校者の前で授業をしていたような気がします。 最後の3年目は、初任教育担当として3年間培ってきたものを全力で伝えられたような気がします。新学校建設では、教務スタッフで授業終了から夜遅くまで意見をぶつけ合い、先進的な学校作りを目指していた頃が懐かしく思えます。 私にとって新学校完成とともに派遣任期が終了したことは大変残念でしたが、3年間の派遣中に多くの人たちに出会え、教官を経験できたことは私の消防人生の宝です。 どうか、これから入校されます消防職員・消防団員の皆様には、新消防学校の近代化された施設、装備の中で消防知識、技術、さらには消防精神の鍛錬に励まれ、地域住民の安全・安心のためにご活躍されますことを切に希望するところであります。 結びに、山梨県消防学校の益々の発展を祈念して寄稿とさせていただきます。 「宝」 元教官 富士五湖消防本部 渡邉 準人 初任教育卒業生に卒業証書をわたす筆者 富士登山で初任学生を引率指導する筆者(左) 寄稿文 ‐43‐ 山梨県消防学校50周年記念誌

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