山梨どこでも富士山(デジタルブック版)
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本栖湖 MAP-I精進湖 MAP-J西湖 MAP-K冨士御室浅間神社 MAP-A御師住宅(旧外川家住宅・小佐野家住宅) MAP-Gこれらの2つの湖沼は、富士山の火山活動によって形成された堰止湖で、5つの湖沼から成る富士五湖に含まれます。16世紀後半に長谷川角行が自筆したとされる文書には、角行自身が「水行」を行った湖沼として、山中湖、河口湖が挙げられています。1733年の『三十一日の御巻』においても、食行身禄は「内八海巡り」の巡礼地として8つの湖沼を挙げています。それらの8つの湖沼の中でも、いつの時代においても変わらずに水行の場として巡礼の対象とされてきたのが山中湖・河口湖を含む富士五湖でした。富士講信者の間では山麓の8つの湖沼を巡って水行を行う「内八海巡り」の行法が定着しました。巡礼地は時代によって変遷しましたが、いつの時代も変わらず巡礼の対象とされてきたのが、西湖・精進湖・本栖湖を含む富士五湖でした。また、富士五湖の中でも、本栖湖は特に優秀な風致景観を誇ることから、多くの芸術作品の源泉ともなってきました。中でも生涯にわたり富士山を追い続けた岡田紅陽が撮影した『湖畔の春』は、五千円札、千円札の図様に採用されました。 吉田口登山道二合目の地に9世紀の初めに建立されたという伝承があり、富士山中に最も早く祀られた神社であるとする文献もあります。本殿は1970年代に里宮の地にそのまま移設されましたが、修験や登拝といった様々な富士山信仰の拠点として位置づけられる二合目の本宮と、土地の産土神としての里宮が一体となって機能してきた神社です。御師は、富士講信者が登拝を行うのに当たり、宿や食事を提供するなど一切の世話をするとともに、日常は富士山信仰の布教活動と祈祷を行うことを業としました。御師屋敷の多くは短冊状をなし、表通りに面して導入路を設け、敷地を流れる水路の奥に住宅兼宿坊の建物が建てられています。写真は旧外川家住宅です。※小佐野家住宅は非公開(富士吉田市歴史民俗博物館において模造復元住宅を見ることができます)山頂には、火口壁に沿って神社等の宗教関連施設が分布しています。富士山への登拝が開始されると、寺院の造営や仏像等の奉納が行われるようになり、山頂部における宗教行為が体系化されていきました。山頂において「ご来光(日の出)」を拝むことや、頂部を巡る「お鉢めぐり」の行為は、現代においても多くの登山者が行っており、これらを通じて富士山信仰の核心が現代にも確実に受け継がれています。富士山の世界遺産(文化遺産)としての価値は、富士山が神聖で荘厳な景観をもとに「信仰の対象」と「芸術の源泉」になってきた点であると考えています。この富士山の価値にとって特に重要な地域(標高約1,500m以上)を資産範囲としています。その理由は有名な絵画に描かれた範囲が重なり合う部分にあたり、信仰の上では神聖性の境界のひとつであった「馬返」以上にあたるからです。この範囲の中には、浅間大神が鎮座するとされる八合目以上や、現在発行されている千円札等に採用された本栖湖からの景観が含まれています。忍野八海 MAP-H河口湖 MAP-L山中湖 MAP-M船津胎内樹型 MAP-B吉田胎内樹型 MAP-B山頂の信仰遺跡群 MAP-F富士山域富士山の伏流水による八つの湧水地で、富士山信仰に関わる巡拝地として八海それぞれに八大竜王を祀っています。富士登拝を行う道者たちはこの水で穢れを祓いました。長谷川角行が行った富士八海修行になぞらえ「富士山根元八湖」と唱えられた古跡の霊場と伝えられ、1843年に富士講信者によって再興されたとされています。富士山の構成資産を巡ろう30013935835813930013813813913736712124朝霧高原四尾連湖立自然公園二十六夜山河口湖IC河口湖IC山中湖IC山中湖IC富士吉田IC富士吉田IC富士スバルライン東富士五湖道路中央自動車道鳴沢村忍野村山中湖村富士河口湖町富士吉田市胎内樹型胎内樹型吉田口登山道吉田口登山道御師住宅御師住宅北口本宮冨士浅間神社北口本宮冨士浅間神社忍野八海忍野八海本栖湖本栖湖西湖西湖河口湖河口湖河口浅間神社河口浅間神社冨士御室浅間神社冨士御室浅間神社富士山域富士山域山中湖山中湖精進湖精進湖山頂の信仰遺跡群山頂の信仰遺跡群AACCGGDDEEFFIIJJKKLLMMHHBB構成資産マップ1617年に長谷川角行が富士登拝した際、北麓に洞穴(船津胎内樹型指定範囲内に点在する小規模な溶岩樹型のひとつと考えられる)を発見し、浅間大神を祀りました。富士講信者によって、1673年には現在の船津胎内樹型が発見され、1892年には新たな「御胎内」として吉田胎内樹型が整備されました。洞内には木花開耶姫命が祀られています。※吉田胎内樹型の内部は一般公開されていません。3

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