あけぼの医療福祉センター身体拘束ゼロへの取り組み
県立あけぼの医療福祉センターの身体拘束に対する方針平成17年11月
はじめに
当センターでは、障害者が尊厳を保ち、安心して生活ができ、且つQOLの向上をめざした支援を行っています。高齢化社会に突入し、老後生活の最大の不安である介護を社会全体で支え、高齢者の自立を支援することを目的とした介護保険制度が、平成12年4月にスタートしました。それに伴い高齢者が利用する介護保険施設等では身体拘束が禁止され、介護の現場では、「身体拘束ゼロ作戦」として身体拘束のないケアの実現に向け、すでにさまざまな取り組みが進められています。このような近年の動向を踏まえ当センターでも身体拘束ゼロへの取り組みを具体的に推進することとします。
1.身体拘束とは
紐・帯などで一時的に身体を拘束し、その運動を抑制する行動制限を言います。(昭和63年4月8日厚生省令第126号「精神保健法及び精神障害に関する法律6条3項の規定に基づき厚生大臣が定める行動の制限」より)
なお、平成11年3月31日厚生省令において、介護保険施設等の運営基準に「身体拘束禁止」が規定されました。
2.身体拘束ゼロへの取り組み
身体拘束ゼロをめざし、職員一丸となって次のことに取り組む。
- (1)みんなで議論し、共通の意識をもつ
全職員が身体拘束の内的・外的弊害をしっかり認識し、どうすれば身体拘束をゼロにできるかを十分に議論し、みんなで問題意識を共有する。その際に「入所者(利用者)中心」という考え方を最も大切にする。保護者(代理人)に対しては、身体拘束に対する基本的な考え方や転倒等事故の防止策や対応方針を十分に説明し、理解と協力を得なければならない。
- (2)まず、身体拘束を必要としない状態の実現をめざす
入所者(利用者)についてもう一度心身の状態を正確にアセスメントし、身体拘束を必要としない状態をつくり出す方向を追求する。問題行動がある場合も、そこには次のような原因が潜んでいるので、その原因を探り、取り除くことが大切であり、その努力を行う。
- アスタッフの行為や言葉かけが不適当か、またはその意味が理解できない場合
- イ自分の意思にそぐわないと感じている場合
- ウ不安や孤独を感じている場合
- エ身体的な不快や苦痛を感じている場合
- オ身の危険を感じている場合
- カ何らかの意思表示をしようとしている場合等
こうした原因を除去するなどの状況改善に努めることにより、問題行動は解消する方向に向かう。
- (3)事故の起きない環境を整備する
身体拘束を行わない事を側面から支援するため、転倒等の事故防止対策を併せて講じておく
例:手すりをつける、足元に物を置かない、ベッドの高さを低くする等の工夫
- (4)常に代替的な方法を考え、身体拘束するケースは極めて限定的に身体拘束せざるを得ない場合でも、本当に代替する方法はないのかを真剣に検討する。「しかたがない」「どうしようもない」とみなされて拘束されている人はいないか、拘束されている人については「なぜ拘束されているのか」を考え、まず、いかに拘束を解除するかを検討することから始める。
3.身体拘束を検討しなければならない場合
当センターでは、「あけぼの医療福祉センターの基本理念」のもとに、入所者(利用者)の尊厳の保持を基本に生活や行動の自由・自立の促進と身体の安全を最優先に、医療・福祉の支援を行っています。
しかし、治療上または入所者(利用者)の安全を確保するため、次のような場合においては多面的検討を十分行ったうえで、やむなく身体拘束を行う事もあります。この場合には、本人または保護者(代理人)に説明し、同意を得てから行うこととします。
- (1)治療上の行動抑制(安静)が必要な場合
- (2)日常生活に於いて、本人の身体安全保持のため必要な場合
- (3)自傷・他害に繋がる危険な突発的行動がある場合
やむなく身体拘束を行う場合は、「やむなく身体拘束を行う場合のマニュアル」に沿って行います。
やむなく身体拘束を行う場合のマニュアル
身体拘束とは
紐・帯などで一時的に身体を拘束し、その運動を抑制する行動制限をいう。(昭和63年4月8日厚生省第126号「精神保健法及び精神障害に関する法律6条3項の規定に基づき厚生大臣が定める行動の制限」より)、なお平成11年3月31日厚生省令において、介護保険施設等の運営基準に「身体拘束禁止」が規定されている。
1.身体拘束についての基本的考え方
利用者の尊厳の保持と生活や行動の自由・自立促進のために原則として行わない。ただし、入所児・者又は他の入所児・者の生命や身体を保護するため、やむなく行う場合には、本人又は保護者の同意書を必要とする。
2.やむなく身体拘束を行う場合
- (1)治療上の行動抑制(安静)が必要な場合。
- (2)日常生活に於いて本人の身体安全保持のため必要な場合。
- (3)自傷・他害に繋がる危険な突発的行動がある場合。
3.同意書が必要な身体拘束を行う場合の対応
- (1)具体例
- ア療育上、必要な医療行為で安静確保が必要な場合。
- イ経管栄養中、チューブの自己抜去を防止するため、手袋(ミトン)をつける場合。
- ウベッドからの転落を防ぐため、身長と同等以上の高さの柵を用いること。
- エ多動・危険行動等で自傷行為を防ぐため、可動域を制限すること。
- (2)身体拘束を行う時の手順
- ア身体拘束の必要性について関係する医師・看護師・支援課職員等で検討する。
- イその結果、やむなく身体拘束を行う場合には、看護計画を立案し、保護者(代理人)に医師及び看護師から身体拘束の内容・目的・理由・時間帯・期間等について説明し、 同意書にサインを得る。
- ウ同意書はカルテに保存する。
- エ看護師は保護者(代理人)の意見・希望を伺い、看護記録に記録する。
- オ身体拘束中は観察を(直接ないし会話による)行い、看護記録に記録する。
- カ身体拘束を解除する場合は、理由を看護記録に記録する。
- キ身体拘束を解除する場合は、解除理由を保護者(代理人)に説明する。
- (3)身体拘束を行う場合の留意点
- ア身体拘束を行う場合は、必要最小限の時間・範囲とする。
- イ身体拘束を行う場合は、理由や開始時間・終了時間、又身体拘束中継続して観察した内容と結果を必ず記録に残す。
4.身体拘束にあたらないと考える行為
- (1)車椅子・座位保持装置での安全ベルトの使用・・・身体保持・安定保持
- (2)食事のための車椅子・座位保持への食事台装着・・・良姿位保持
- (3)治療のための装具の装着等
5.その他
緊急回避的に身体拘束を実施しなくてはならない場合、事前に同意を得られず、説明が事後になる場合がある。保護者(代理人)にはその旨を理解していただき事後に同意を得る。